バベルプレス 『異文化ストレス症候群』 1992年
「第七章、子どもたちの異文化ストレス」
pp.155-174
大西 守
- 《概略》
- 本書は表題にも示されているように、異文化と接触することによって生じるストレスについて、海外旅行者、ビジネスマン、駐在員の妻、国際結婚、留学生、海外帰国子女、そして日本で暮らす外国人など、様々な立場の事例と、それに対する予防と解決について述べたものである。ここでは「第七章、子どもたちの異文化ストレス」のみ紹介することにする。
- <第七章>
- 最近になって、従来の海外帰国子女とは異なる「単身帰任(海外駐在が終了しても、子どものみ現地の学校に止まるケース)」や「単身渡航(海外に進出した日本の中学校や高校に、子どもが日本から単身就学するケース)」に伴う異文化不適応の事例が多く報告されるようになった。ストレスに対して長年に渡って無自覚であり、病気をきっかけに情緒不安定に陥った高校生の事例や、挫折感から過食症になり、帰国後も食行動異常に悩まされるOLの事例などである。
- 喘息発作、脱毛症、夜尿などは、子どもたちの海外生活に対する不適応の表現方法である。こうした異文化ストレス症候群を予防し解決するためには、以下の点に留意すべきである。
- 企業が海外勤務に関する長期的な展望を示すこと。
- 日本での帰国後の受験や就職にのみ目を向けないこと。
- 家族全体の問題として理解し、対応すること。
- 子どもの身体症状に対する心身医学的な理解を徹底させること。
- 再適応の重要性や困難性についても併せて重要視していくこと。
- 資格認定や編入学など、公的レベルでの対応を拡充させること。
なお、本章の最後には、参考資料として関係機関の連絡先が掲載されている。
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